こどもみるく、PLサイド。中の人否定派さんにはおすすめしません。
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私たちは少し遅く、そしてかつてに比べるとかなり貧しい食事を取った後、三人で焚き火を囲んでいた。
相変わらずここの遺跡は変だ。
遺跡内だということを忘れるほどの、澄んだ星空。
星はお母さんの象徴だ。こうしていると、お母さんに優しく包まれているような気持ちになってくる。
そうしながら私は、今日のことを思い出していた。
「探しましたのよ、みるちゃん」
遺跡外に放り出されて、持ち物も自分の力だと思っていたものもみんな失って。
またひとりぼっちになって、それでももしかしたらと思って遺跡の中へ入った。
それが、2日目の昼。
「よし、私の出番だなっ!」
そう言って歩き回って見たものの、すぐに途方にくれることになった。
いつの間にか私は大所帯に慣れてしまっていたんだ。
あーややクォと離れることがあっても、少なくとも私にはお付がいた。
役立たずなボディガードや速攻トンズラするようなマネージャーとかだったけど、
それでも私は誰かに見守られていたんだ。
だから、本当に独りになってしまったと思い知った瞬間、
本当に、どうすれば良いか分からなくなってしまった。
二人と二度と会えなかったらどうしよう。
このままお別れも言えなかったらどうしよう。
そんなことばかり考えながら木陰で泣いていた時にかけられたのが、あーやのその言葉だった。
「探しましたのよ、みるちゃん」
「ひっ!?……あ、あーや?」
「探しましたのよ?……あら、泣いてたんですの?」
突然のことに大きな声を出してしまった。
見上げると、さっきからずっと探していた顔が、いつも通りの笑みを浮かべてこちらを覗いていた。
「な、泣いてなんかないもん」
私は何事もなかったかのようにうつむいてあーやから見えないように隠しながら、袖で目元を拭った。
「そうですの?まぁ、それはそれでいいんですけど」
「う、五月蝿いな!それに、別にあーやなんか探してないもん!」
「あら、そうでしたの?てっきり、私が居なくなって寂しくって泣いてるものとばかり」
「ち、違う!嫌い!あーやなんか嫌いなんだから!!別に探してないもん!」
本当に、探してなんてないもん!
ムキになってほっぺを膨らませたところで、あーやが立ち上がった。
「そう、ごめんなさいね?私の勘違いだったみたい」
「え?」
「それじゃ、お邪魔してごめんなさい」
「あーや?」
あーやはニコッと微笑んで後ろを向いた。
「またどこかで会えると良いですのね」
「や、あーややだ!」
ぐぃっ!
「どっか行っちゃやだ!」
とっさに、服の裾を引っ張った。
あーやが留まって溜息をついたのを感じたところで、私は急に怖くなって心臓がバクバク言い始めた。
いろんなところが熱くなってくる。
――いかないで。お願いだから。私をひとりにしないで。
もう、ひとりは嫌……嫌なのよ……
私はそのまま、動けなくなった。目頭がヒリヒリする。
「はぁ……もう、本当に」
あーやが振り向いた。そして、そのまま私の背中に腕を回した。
「はいはい、意地っ張りさんですのね」
「うー、あーや嫌い」
「はいはい、嫌いなのは分かってますのよ」
私のことを子ども扱いするなんて!
ホントあーやって失礼なんだから!!
そう思いながらも、私は抵抗せずにあーやに頭を預けた。
それをあーやがそっと撫でてくれる。
……そうしているうちに、冷静になってきた。
何よ。あーやったら私のことハメたわね。
本当は自分がひとりじゃ嫌だったくせに、私のせいにするつもりなんだ。
さっきの自分の反応を悔しく思っていたら、ふいにあーやが私の背中より後ろに向かって声をかけた。
「さて、クォー?居るんでしょ?」
「いるヨ?」
え? いつからいたの?
クォも、私のこと見つけておきながら放置して反応見て遊んでたの?
私はバタバタしてあーやから離れると、クォの方を向いた。
相変わらず飄々としているというか。マイペースでこっちに向かってくる。
「よし、皆いますのね」
「そうだネ」
「でも、持ち物もPSも何もなくなったよ?うー、私の作った衣装……」
力作だったのに。もう同じもの作れるか分からないぐらい頑張ったのに。
むくれていると、あーやが私の頭に手を置いた。
「それでも、こうして皆とまた一緒に居られるから平気ですのね」
何よ。また子ども扱いしちゃってさ。
でも、さっきみたいにまた置いていかれそうになるのは嫌だから、黙っておいてあげた。
「……うん」
ふん。素直にしてあげるのは今日だけなんだから。
そう心の中で悪態をつきながらも、嫌な気持ちだけはしなかったんだ。
立てた膝にあごを乗せてぼうっと焚き火の炎を眺めていたら、不意にクォの不思議そうな声が降ってきた。
「あやぽん、どシタノ?」
知らぬ間にうとうとしていたのかもしれない。
意外に大きなその声に驚いて顔を上げた。
「ん、なんでもないですのよ」
本当になんでもなさそうに、あーやが軽く流した。
クォもあーやも、相変わらず変なしゃべり方。
初めて会った時はイライラしたものだ。懐かしいな……
「変ナノ」
「違うの」
ますます不思議そうなクォに、あーやが首を横に振った。
「こうして、また貴女達とあの楽しくも騒がしい冒険が出来るんだなって」
「……ふん、べっつに。私は楽しくなんかないもん」
そう言って、私は口を尖らせてそっぽ向いた。
ここで「うん」なんて言ったら、どうせまた子ども扱いするんでしょ?
私、知ってるんだから。その手には乗らないんだから。
でも、楽しくなかった、と言ったら嘘になる……のかな?
正直、自分でもよく分からない。
楽しかった記憶なんて思いつかない。
でも、遺跡から放り出されて途方にくれていた時、後まっ先に思い浮かべたのは二人の顔だった。
初めて島に来た時みたいに、お母さんじゃなかった。
「うん、だからね。これからを思ってまた楽しいんだろうなって、ね」
「なんだ、そんなこと……確かに何でもナイネ。でも変じゃない」
うん、とクォが頷いた。
あーや、今、私が言ったこと無視したし。
言ってること意味不明だし。
でも、あーやが私のこと探してくれて。
そして、見つけてくれて。
……嬉しかったよ
相変わらずここの遺跡は変だ。
遺跡内だということを忘れるほどの、澄んだ星空。
星はお母さんの象徴だ。こうしていると、お母さんに優しく包まれているような気持ちになってくる。
そうしながら私は、今日のことを思い出していた。
-------------------------キリトリ-------------------------
「探しましたのよ、みるちゃん」
遺跡外に放り出されて、持ち物も自分の力だと思っていたものもみんな失って。
またひとりぼっちになって、それでももしかしたらと思って遺跡の中へ入った。
それが、2日目の昼。
「よし、私の出番だなっ!」
そう言って歩き回って見たものの、すぐに途方にくれることになった。
いつの間にか私は大所帯に慣れてしまっていたんだ。
あーややクォと離れることがあっても、少なくとも私にはお付がいた。
役立たずなボディガードや速攻トンズラするようなマネージャーとかだったけど、
それでも私は誰かに見守られていたんだ。
だから、本当に独りになってしまったと思い知った瞬間、
本当に、どうすれば良いか分からなくなってしまった。
二人と二度と会えなかったらどうしよう。
このままお別れも言えなかったらどうしよう。
そんなことばかり考えながら木陰で泣いていた時にかけられたのが、あーやのその言葉だった。
「探しましたのよ、みるちゃん」
「ひっ!?……あ、あーや?」
「探しましたのよ?……あら、泣いてたんですの?」
突然のことに大きな声を出してしまった。
見上げると、さっきからずっと探していた顔が、いつも通りの笑みを浮かべてこちらを覗いていた。
「な、泣いてなんかないもん」
私は何事もなかったかのようにうつむいてあーやから見えないように隠しながら、袖で目元を拭った。
「そうですの?まぁ、それはそれでいいんですけど」
「う、五月蝿いな!それに、別にあーやなんか探してないもん!」
「あら、そうでしたの?てっきり、私が居なくなって寂しくって泣いてるものとばかり」
「ち、違う!嫌い!あーやなんか嫌いなんだから!!別に探してないもん!」
本当に、探してなんてないもん!
ムキになってほっぺを膨らませたところで、あーやが立ち上がった。
「そう、ごめんなさいね?私の勘違いだったみたい」
「え?」
「それじゃ、お邪魔してごめんなさい」
「あーや?」
あーやはニコッと微笑んで後ろを向いた。
「またどこかで会えると良いですのね」
「や、あーややだ!」
ぐぃっ!
「どっか行っちゃやだ!」
とっさに、服の裾を引っ張った。
あーやが留まって溜息をついたのを感じたところで、私は急に怖くなって心臓がバクバク言い始めた。
いろんなところが熱くなってくる。
――いかないで。お願いだから。私をひとりにしないで。
もう、ひとりは嫌……嫌なのよ……
私はそのまま、動けなくなった。目頭がヒリヒリする。
「はぁ……もう、本当に」
あーやが振り向いた。そして、そのまま私の背中に腕を回した。
「はいはい、意地っ張りさんですのね」
「うー、あーや嫌い」
「はいはい、嫌いなのは分かってますのよ」
私のことを子ども扱いするなんて!
ホントあーやって失礼なんだから!!
そう思いながらも、私は抵抗せずにあーやに頭を預けた。
それをあーやがそっと撫でてくれる。
……そうしているうちに、冷静になってきた。
何よ。あーやったら私のことハメたわね。
本当は自分がひとりじゃ嫌だったくせに、私のせいにするつもりなんだ。
さっきの自分の反応を悔しく思っていたら、ふいにあーやが私の背中より後ろに向かって声をかけた。
「さて、クォー?居るんでしょ?」
「いるヨ?」
え? いつからいたの?
クォも、私のこと見つけておきながら放置して反応見て遊んでたの?
私はバタバタしてあーやから離れると、クォの方を向いた。
相変わらず飄々としているというか。マイペースでこっちに向かってくる。
「よし、皆いますのね」
「そうだネ」
「でも、持ち物もPSも何もなくなったよ?うー、私の作った衣装……」
力作だったのに。もう同じもの作れるか分からないぐらい頑張ったのに。
むくれていると、あーやが私の頭に手を置いた。
「それでも、こうして皆とまた一緒に居られるから平気ですのね」
何よ。また子ども扱いしちゃってさ。
でも、さっきみたいにまた置いていかれそうになるのは嫌だから、黙っておいてあげた。
「……うん」
ふん。素直にしてあげるのは今日だけなんだから。
そう心の中で悪態をつきながらも、嫌な気持ちだけはしなかったんだ。
-------------------------キリトリ-------------------------
立てた膝にあごを乗せてぼうっと焚き火の炎を眺めていたら、不意にクォの不思議そうな声が降ってきた。
「あやぽん、どシタノ?」
知らぬ間にうとうとしていたのかもしれない。
意外に大きなその声に驚いて顔を上げた。
「ん、なんでもないですのよ」
本当になんでもなさそうに、あーやが軽く流した。
クォもあーやも、相変わらず変なしゃべり方。
初めて会った時はイライラしたものだ。懐かしいな……
「変ナノ」
「違うの」
ますます不思議そうなクォに、あーやが首を横に振った。
「こうして、また貴女達とあの楽しくも騒がしい冒険が出来るんだなって」
「……ふん、べっつに。私は楽しくなんかないもん」
そう言って、私は口を尖らせてそっぽ向いた。
ここで「うん」なんて言ったら、どうせまた子ども扱いするんでしょ?
私、知ってるんだから。その手には乗らないんだから。
でも、楽しくなかった、と言ったら嘘になる……のかな?
正直、自分でもよく分からない。
楽しかった記憶なんて思いつかない。
でも、遺跡から放り出されて途方にくれていた時、後まっ先に思い浮かべたのは二人の顔だった。
初めて島に来た時みたいに、お母さんじゃなかった。
「うん、だからね。これからを思ってまた楽しいんだろうなって、ね」
「なんだ、そんなこと……確かに何でもナイネ。でも変じゃない」
うん、とクォが頷いた。
あーや、今、私が言ったこと無視したし。
言ってること意味不明だし。
でも、あーやが私のこと探してくれて。
そして、見つけてくれて。
……嬉しかったよ
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